光害(ひかりがい)とは、人工の光が不適切に使われたり漏れたりして、夜空や生き物、人の暮らしに悪影響を与えることです。環境省のガイドラインでは、良好な「光環境」の形成が、人工光の不適切あるいは配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって阻害されている状況、またはそれによる悪影響と定義されています。
なお、「光害」はアイドルやアーティストのライブで、周囲の迷惑になるほど強いペンライトやサイリウムの光を指す言葉としても使われています。このページで扱うのは、そちらではなく夜空・環境・健康の「光害」です。
ライブの「光害」と夜空の「光害」は別のもの
ライブでは、禁止されている改造サイリウムなどのまぶしい光が観客の視界を妨げる問題が「光害」と呼ばれることがあります。これは会場のルールとマナーの問題で、ニュースになった例もあります。
一方、このサイトで扱う光害は、街灯・看板・建物の照明などの屋外照明が空や周囲に漏れ出す問題です。英語では light pollution と呼ばれ、天体観測だけでなく、生態系や人の睡眠にも関わるとして世界で研究と対策が進んでいます。
光害で何が起きるのか
- 星空が見えなくなる:空に漏れた光が大気で散乱して夜空が明るくなり、暗い星が見えなくなります。街なかで見える星が少ないのはこのためです。
- 生き物への影響:渡り鳥が人工光に引き寄せられて迷ったり、昆虫や海辺の生き物の行動が変わったりすることが、海外の研究で報告されています。
- 人の睡眠・健康:夜間の強い光が体内時計(概日リズム)に影響する可能性が研究されています。
- エネルギーの無駄:空に向かって漏れる光は、地上を照らす役に立たないまま電気を使っています。
個々の研究の詳しい内容は、当サイトの失われた星空や、各国の最新ニュースの記事で紹介しています。
自分の街の夜空はどれくらい明るい?
夜空の暗さを9段階で表す目安に「ボートルスケール」があります。数字が小さいほど暗く、大きいほど明るい空です。自分の街が何段階くらいかを知ると、光害を身近に感じやすくなります。詳しくはボートルスケールとは?9段階の見方と測り方で解説しています。
日本の状況:ガイドラインと星空を守る地域
日本では、環境省が1998年(平成10年)に光害対策ガイドラインを策定し、現行版は2021年(令和3年)3月の改訂版です。ガイドラインは、屋外照明の配光、上方光束比(真上方向に漏れる光の割合)、輝度、光色の4点に着目して対策を示しています。
地域の取り組みもあります。岡山県井原市美星町は、1989年ごろに全国に先駆けて光害防止条例を制定したとされ、2021年11月には国際ダークスカイ協会(IDA)の「ダークスカイ・コミュニティ」にアジアで初めて認定されました。また、西表石垣国立公園は2018年に、日本で初めてIDAの「ダークスカイ・パーク」(星空保護区)に認定されています。
私たちにできること
- 屋外の照明は、必要な場所だけを下向きに照らすタイプにし、上に光が漏れないようにカバーをつけます。
- 人のいない時間帯は、庭・店先・看板の照明を消すか減光します。
- 明るさは必要な分だけにし、光の色は暖色系(電球色)を選びます。
- 環境省などが呼びかける星空観察の機会に参加し、自分の街の夜空を観察します。
まとめ
光害は、ライブの迷惑行為を指す俗語としても使われますが、本来は人工の光が夜空・生き物・人の暮らしに与える悪影響のことです。まずは自分の街の夜空の明るさを知り、不要な照明を見直すことが第一歩です。
出典:
船橋市(環境省の光害の定義を紹介)
パナソニック 美星町の星空を守る
環境省 西表石垣国立公園 資料
弁護士ドットコムニュース(ライブの改造サイリウム)