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イリノイ州の小さな街が挑む、助成金付き光害対策
以前の記事でご紹介したミシガン州ピトスキー市の条例は、新規開発を対象とした規制でしたが、既存の街並みを少しずつ改修していくアプローチもあります。
米イリノイ州の小さな村ウェストモントは、ダウンタウンの照明を段階的にダークスカイ対応へと切り替えるプロジェクトを進めており、さらに住民や事業者向けの助成金制度まで用意しています。
本記事は、ウェストモント村の発表をもとにご紹介します。
再整備の機会をとらえた段階的な改修
ウェストモント村が進めているのが「ダークスカイ・ダウンタウン・ライティング・プロジェクト」です。中心business地区(ダウンタウン)や鉄道駅周辺の改修工事にあわせて、ダークスカイ対応の照明を順次導入していくという計画で、2026年には2件のプロジェクトが予定され、さらに1件が検討中とされています。
イースト・バーリントン通りの再整備事業に含まれる4基の照明器具も、ダークスカイ対応品に切り替えられる予定です。大規模な一括工事ではなく、道路の再整備などの機会をとらえて着実に置き換えていくという、現実的な進め方が特徴です。
パスキネリ通りではすでに完了
この取り組みに先立ち、村内のパスキネリ通りではすでに街灯改修工事が完了しています。導入された照明は、国際ダークスカイ協会(IDA)が推奨する色温度とシールド(遮光)の基準を満たす器具が採用されました。
これまでの記事で紹介してきたメイン州やマサチューセッツ州の州法が定める基準と共通する考え方が、ここでも実際の街灯という形で具体化されています。法律や条例といった大きな制度だけでなく、こうした一つひとつの改修工事の積み重ねが、実際の夜空の明るさを変えていくことになります。
民間物件も対象にした助成金プログラム
ウェストモント村の取り組みで特に興味深いのが、住民・事業者向けの助成金プログラムです。「ウェストモント・ダークスカイ・グラント・プログラム」と名付けられたこの制度は、2026年1月から11月1日まで(予算がなくなり次第終了)実施されており、個人の自宅や事業者の物件について、光害を減らす・なくすための改修を行う際の費用を補助する仕組みです。
以前の記事で紹介した条例や州法の多くが、公共照明や新規開発を主な対象としていたのに対し、この助成金は既存の民間物件のオーナーに的を絞っている点で、一歩踏み込んだアプローチと言えます。
規制ではなく「参加したくなる」仕組みづくり
行政がルールを定めて義務づけるだけでなく、住民が自主的に対策に取り組みたくなるよう経済的なインセンティブを用意するというやり方は、光害対策を「押し付けられる規制」ではなく「参加したくなる取り組み」に変えていくうえで有効な手法だと考えられます。
特に、街灯のように行政が直接コントロールできる照明と違い、個人宅や店舗の照明は所有者の判断に委ねられる部分が大きいため、規制だけでは変化のスピードに限界があります。助成金という後押しを組み合わせることで、より幅広い層の参加を促そうという狙いがうかがえます。
小さな村だからこそのきめ細かさ
ウェストモントは人口2万人台の小さな村ですが、その取り組みは、これまでの記事で紹介してきた大きな州法や国際的な業界基準と比べても、決して見劣りしないきめ細かさを持っています。
大規模な政策転換だけでなく、こうした地域レベルでの地道な積み重ねこそが、実際に住民が見上げる夜空を変えていく力になるのかもしれません。全米各地の自治体が、それぞれの規模や事情に合わせて光害対策のアプローチを模索している様子が、こうした事例からもうかがえます。
エネルギーコスト削減という副次効果
ダークスカイ対応の照明への切り替えは、光害の低減だけでなく、エネルギー消費の削減という副次的なメリットも期待できます。必要な場所だけを的確に照らすことで、余分な電力消費を抑えられるため、環境面だけでなく自治体の維持管理コストの観点からも注目されている取り組みです。
まとめ
ウェストモント村の事例が示すのは、光害対策が必ずしも大規模な法整備を待たなくても、身近な工事の機会や助成金制度を通じて着実に前進できるということです。義務化と自主的な参加、その両方をうまく組み合わせることが、地域レベルで光害対策を根づかせる鍵になりそうです。
あなたの街にも、こうした取り組みが広がる日が来るかもしれません。
出典: Village of Westmont, Illinois「Dark Sky Downtown Lighting Project」をもとに作成。