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上院が全会一致可決、光害規制法案が最終局面へ
以前の記事で、メイン州の全米初の州レベル光害法をご紹介しましたが、隣接するマサチューセッツ州でも、州レベルの光害規制がついに現実味を帯びてきました。同州上院が光害対策法案を全会一致で可決し、30年以上にわたる働きかけの中で最も前進した動きとなっています。
本記事は、Brookline.NewsやBoston Globeなどの報道をもとにご紹介します。
30年越しの前進、上院全会一致で可決
マサチューセッツ州議会に提出されている法案は、新設される公的資金による屋外照明(道路、駐車場、公共施設の照明など)について、州として初めて統一基準を設けようとするものです。
今回、州上院がこの法案を全会一致で可決したことは、30年以上にわたって続けられてきた光害対策の議会への働きかけの中で、これまでで最も議会を通過した事例とされています。長年にわたる地道な政策提言の積み重ねが、ようやく実を結びつつある局面だと言えるでしょう。
完全遮光と3,000ケルビン以下という基準
法案の内容は、これまでの記事で紹介してきたメイン州法や各都市の条例とも共通する要素を含んでいます。具体的には、ほとんどの道路・駐車場・行政庁舎の照明について完全遮光型の器具を用い、光を上や周囲ではなく地面方向にのみ照射することを義務づけ、新設する照明の色温度を原則として3,000ケルビン以下に制限するという内容です。
支持者らは、こうした基準が光害の抑制だけでなく、電気代の削減や、過剰な夜間照明が人間の健康や野生生物に与える悪影響の緩和にもつながると主張しており、街を暗くするのではなく、無駄な光を減らすことが狙いだと強調しています。
ブルックラインはさらに一歩先へ
州レベルの動きと並行して、ボストン近郊の街ブルックラインでは、さらに踏み込んだ地域独自の条例づくりが進められています。州法案が対象とするのはあくまで公的資金による照明ですが、ブルックラインで検討されている条例案は、個人住宅や商業施設など民間の照明にまで規制の対象を広げようとしている点が特徴です。
この提案は、住民からの請願を受けて2025年11月の特別タウンミーティングで継続審議とされ、今年秋のタウンミーティングに向けて、担当委員会が具体的な勧告をまとめている段階だといいます。
都市・州の「二層構造」で広がる対策
以前の記事で紹介したミシガン州ピトスキー市(都市レベル)、メイン州(州レベルで公共照明限定)に続き、マサチューセッツ州の事例は、州レベルの規制と、それを上回る地域独自の条例が同時並行で進むという、新しいパターンを示しています。
州が最低限の統一基準を敷き、意識の高い自治体がさらに踏み込んだ規制を上乗せするという二層構造は、今後他の州でも参考にされる可能性がある枠組みと言えそうです。全米各地で積み重なってきた光害対策の事例が、少しずつ相互に影響を与え合いながら広がっている様子がうかがえます。
成立まではまだ道半ば
法案は上院を通過した段階であり、今後、下院での審議や知事の署名など、成立に向けた手続きがまだ残されています。それでも、30年以上にわたる働きかけの末に「議会をここまで通過したのは初めて」という節目を迎えたことは、粘り強い政策提言の積み重ねが着実に成果を生み出しつつあることを示しています。
都市の条例、州の法律、そして業界団体の基準——それぞれのレベルでの取り組みが折り重なることで、光害対策は着実に制度として根付きつつあると言えるでしょう。
「暗くする」のではなく「賢く照らす」
ブルックラインで審議されている条例案の議論では、「防犯上、明るい照明が必要ではないか」という懸念もたびたび取り上げられているといいます。光害対策の関係者は、暗くすることと安全性を犠牲にすることは同じではなく、必要な場所を的確に照らす「賢い照明」への転換こそが目指すべき方向だと説明しています。
まとめ
メイン州に続き、マサチューセッツ州でも州レベルの光害規制が現実味を帯びてきました。30年以上の働きかけの末にたどり着いた今回の前進は、地道な政策提言がいかに重要かを物語っています。
都市・州・業界団体という異なるレベルの取り組みが折り重なりながら、光害対策は少しずつ社会の標準的なルールへと組み込まれつつあります。
出典: Brookline.News「State and local lawmakers try to take on light pollution」をもとに作成。