夜空の輝きを守るために

夜空の輝きを守ることは、私たちにとって意外に大切な課題かもしれません。都市部では、ネオンサインや街灯などの人工光によって夜空が明るくなり、美しい星空を楽しめなくなっているのが現状です。

この人工光による夜空の明るさは「光害」と呼ばれ、天体観測の障害になるだけでなく、生態系にも悪影響を及ぼすことが分かってきました。そこで注目されているのが、「ダークスカイ」の保護活動です。

ダークスカイとは、光害のない美しい夜空の環境を指す概念で、天体観測や自然保護の観点から注目されています。国際ダークスカイ(DarkSky International)では、ダークスカイ保護区の認定制度を設けており、多くの国々がこの認定を目指しています。

「ダークスカイ フレンドリー」とは

そこで登場してきたのが、「ダークスカイフレンドリー」という概念です。

ダークスカイフレンドリーとは、ダークスカイの保護に配慮した取り組みや製品・サービスを指す言葉です。

具体的には、光害を最小限に抑えた照明設備の使用や、ダークスカイ保護に寄与する製品・サービスなどが該当します。

例えば、ダークスカイ認定のダークスカイ保護区では、公共施設の照明を「フルカットオフ」と呼ばれる光害の少ない仕様に変更しています。フルカットオフ照明は、光を水平方向に出さず、下向きに照らすことで光害を抑えることができます。また、照明の光量も必要最小限に抑えられるよう設計されています。

ダークスカイ保護の意義

ダークスカイの保護には、様々な意義があります。

まず、天体観測の観点から見ると、光害の少ない夜空では、より多くの星々を肉眼で観察できるようになります。また、天体写真撮影の際にも、より美しい星空を収めることができます。

さらに、生態系の保護の観点からも重要です。多くの植物や野生動物は、暗闇の中で活動しており、人工光によって生態系が乱されるリスクがあります。ダークスカイの保護は、こうした生態系への悪影響を最小限に抑えることにつながります。

また、ダークスカイは先住民族の伝統的な知識や文化にも深く関わっています。例えば、マオリ族の人々は、星空の動きを読み取ることで航海術を発達させてきました。このように、ダークスカイの保護は、先住民族の文化的アイデンティティの維持にも寄与するのです。

「ダークスカイフレンドリー」な取り組みの広がり

こうしたダークスカイの保護の重要性が認識されるにつれ、「ダークスカイフレンドリー」な取り組みが世界各地で広がっています。例えば、アメリカのニューメキシコ州では、2009年にダークスカイ認定の「チャコ文化遺産ダークスカイ公園」が誕生しました。
この公園では、公共施設の照明を徹底的に光害の少ない仕様に変更し、美しい星空を楽しめるようになっています。

また、ニュージーランドでは、ニュージーランドの北島、首都、ウエリントンの北東に位置する南ワイララパ地区およびカータートン地区が、国際ダークスカイより「星空保護区」に認定されました。この公園では、宿泊施設の照明を含め、ダークスカイに配慮した取り組みが行われています。

さらに、日本でも、2018年に「西表石垣国立公園」が星空保護区「ダークスカイ・パーク」に認定を受けました。

このように、ダークスカイの保護は、世界各地で広がりを見せています。今後は、企業や自治体、個人レベルでも、ダークスカイフレンドリーな取り組みが広がっていくことが期待されます。

まとめ

ダークスカイフレンドリーとは、光害の少ない美しい夜空の環境を守るための取り組みや製品・サービスを指す概念です。

天体観測や生態系保護、先住民の文化継承など、ダークスカイの保護には様々な意義があります。世界各地でダークスカイ保護区の認定が進む中、企業や自治体、個人レベルでも、ダークスカイフレンドリーな取り組みが広がっています。

私たち一人一人が、ダークスカイの価値を理解し、その保護に貢献していくことが重要だと言えるでしょう。