今回はThe Saturday Evening Postの2023年11月14日の

Our Better Nature: Light Pollution Causes Heavy Problems We need to put a stop to ALAN’s bad behavior.
「私たちのより良い自然:光害は深刻な問題を引き起こすALANの悪行に歯止めをかけよう」

という記事をご紹介します。

ALANとは

夜に人工的な光を使うことは私たちの生活にとって便利ですが、その一方で、自然界の動物たちにとっては大きな脅威になっています。夜の光はALAN(Artificial Light At Night[夜の人工的な光])と呼ばれ、動物の生態系や人間の健康に悪影響を及ぼしているという研究が多数あります。

Our Better Nature: Light Pollution Causes Heavy Problems We need to put a stop to ALAN’s bad behavior.

ALANとは何か?

ALANとは、夜間に人間が作り出す人工的な光のことです。仕事や遊び、安全のために暗闇を照らすことは必要ですが、その光は必要な場所以外にも飛び散ってしまいます。その結果、地球上の多くの場所が夜でも明るくなってしまっています。これを光害(Light Pollution)と呼びます。

光害は、他の汚染と違って、スイッチを切れば消えるという特徴があります。しかし、それは光害が問題ではないということではありません。光害は、夜行性の動物たちにとっては、自然のリズムを乱すものです。『World Atlas of Night-Sky Brightness(夜空の明るさの世界地図)』を見れば、光害がどれほど広がっているかが分かります。

Our Better Nature: Light Pollution Causes Heavy Problems We need to put a stop to ALAN’s bad behavior.
Credit:C. Bouroussis NOIRLab

都市部のALANによって、子どもたちが美しい星空を見る機会が失われていること。あるいは、夜型の生活をしている人々の睡眠サイクルが乱されていることなど、光害は人間生活に大きな影響を与えています。

一方で、光害が「スイッチを切れば消える」という好都合な面もあるという指摘には納得できます。他の公害問題に比べ対策が容易なことから、まずは各個人やコミュニティレベルでの取り組みが重要だと思います。

必要のない照明をこまめに消す、光を遮る設備を設置する等の地道な活動が、この問題の改善につながるのではないでしょうか。

技術革新や社会システムの改善と合わせ、光害への意識向上とライフスタイルの変化が求められていると思います。

ALANが動物に与える影響

ALANは、様々な動物の生活に悪影響を与えています。例えば、以下のような事例があります。

  • アメリカのフロリダ州の約2000マイルの海岸線は、ウミガメの重要な産卵地です。しかし、夜に孵化したウミガメの赤ちゃんは、明るく照らされた商業地区に引き寄せられてしまい、毎年何千匹もの死亡が報告されています
    専門家は、2020年以降、ウミガメの巣の数が急増したのは、パンデミックによる観光客の減少で海岸線の照明が減ったためだと考えています。
  • カエルは、夜に照らされると、メスに求愛する鳴き声を出すのを控えるようになります。そのため、繁殖の成功率が低下します。コウモリの巣の近くに人工光があると、コウモリは通常のように餌を探すことができず、個体数の減少につながります。
  • 渡り鳥は、特にALANの影響を受けやすいです。ほとんどの非在来種の小鳥は夜に渡りを行いますが、鳥の方向感覚は複雑で、天体の光が役に立っていると考えられています。しかし、ALANはその仕組みを狂わせてしまい、アメリカでは毎年10億匹もの小鳥が照らされた建物に衝突して死んでしまいます。
  • 飛ぶ昆虫は、ALANによって最も大きな影響を受けている動物の一つです。近年、食物の受粉を行う昆虫が驚くべき速さで減少しています。その要因には農薬や気候変動がありますが、研究によると、屋外の照明も大きな役割を果たしています。
  • 皮肉なことに、ホタルも人工光の影響を受けています。人工光によって、ホタルはより明るい光を出すためにエネルギーを使わなければなりません。2023年10月に発表された30年間の研究によると、ブラジルではその間にホタルの数が急激に減少し、無秩序な開発が新たな地域に光をもたらしたことが原因だとされています。

光害が野生生物に与えている影響についてのこれらの例は大変示唆に富んでいます。

特にウミガメの例は、光害が生態系に深刻な影響を及ぼしうることを如実に示しています。パンデミックによる人為的活動の低減が、直ちに彼らの生息環境の改善につながった事実は、この問題への対処の必要性を痛感させます。

また、飛翔性昆虫や渡り鳥への影響も看過できません。これらは生態系の基盤を成す存在であり、 鳥たちの減少は波及影響を考えれば極めて重大な問題です。ホタルの例も、自然界のデリケートなバランスが人為的な光によって崩れつつあることを如実に示しています。

これらの例から、光害が生物多様性や生態系の保全にとって深刻な脅威となりうることがよく分かります。 個人としてできることには限りがありますが、この問題の重要性を認識し、可能な範囲で配慮することが大切だと感じました。技術開発や社会システムの改善により、この問題が改善されることを願わずにはいられません。

ALANが人間に与える影響

ALANは、私たち人間にとっても良くないことが分かっています。ALANは、私たちの体内時計や睡眠の質を乱してしまいます。睡眠の質が悪いということは、単に眠いだけではなく、糖尿病や心臓病などのリスクを高めることになります。科学者たちは、不健康な睡眠パターンががんを抑制する遺伝子を妨げることで、乳がんや前立腺がん、胃がん、肺がんなどを引き起こすと考えています。

ALANは、メラトニンというホルモンの分泌を抑えてしまいます。メラトニンは、睡眠サイクルを調整するだけでなく、内分泌系の機能にも役立ちます。2023年の研究によると、光害とアルツハイマー病との間に強い相関があることが示されています。また、ALANにさらされた乳児は、後にうつ病やその他の気分障害を発症する可能性が高くなるという研究もあります。

近代的な技術は、この問題を悪化させています。LED(Light-Emitting Diode)と呼ばれる光源は、白熱電球よりも長持ちし、エネルギーの消費も少ないため、環境や経済にとって良いとされています。しかし、LEDは白熱電球の5倍も睡眠リズムを乱す力があり、昼間の眠気、パフォーマンスの低下、肥満などを引き起こします。さらに、私たちの目の光受容体は青い光に対して敏感で、LEDは青い光を多く放出するため、目の疲れや視力の低下にもつながります。

Our Better Nature: Light Pollution Causes Heavy Problems We need to put a stop to ALAN’s bad behavior.

この中で特に気になった点は、ALANが睡眠の質を乱すことによる健康への影響です。睡眠は、私たちの体や心を休め、回復させるために欠かせないものです。しかし、ALANによって睡眠の質が乱れると、以下のような健康問題を引き起こす可能性があるということです。

  • 糖尿病
  • 心臓病
  • がん
  • アルツハイマー病
  • うつ病
  • 肥満

睡眠の質が悪いと、単に眠いだけではなく、私たちの健康に深刻な影響を与えると述べられています。

また、LEDの光源は、白熱電球よりも睡眠リズムを乱す力が強いという点も、憂慮すべきことです。LEDは長寿命で省エネなため、環境や経済に優しい光源として普及していますが、私たちの健康に悪影響を及ぼす可能性があることを認識しておく必要があります。

私は、光害を減らすためには、私たち一人ひとりが意識的に行動することが大切だと考えています。例えば、

  • 自宅や職場では、必要な場所以外では照明を消す
  • 空に光が拡散しないよう、照明を下向きにしたり、傘をつける。

などです。私は自宅では、必要な場所以外では照明をなるべく消すようにしています。また、光害の問題についてもっと多くの人に知ってもらえるよう、このブログで情報を発信しています。

行政や企業にも、光害対策に取り組んでもらう必要があります。例えば、

  • 屋外照明の明るさや向きを調整する
  • 自然光を活用した照明を導入する
  • 光害に関する啓発活動を行う

私たち一人ひとりが、光害の問題を認識し、行動を起こすことで、自然と共生できる社会を実現していきたいと考えています。

このように、光害は私たちの健康や生活にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があるため、私たち一人ひとりが意識的に行動し、光害対策に取り組んでいくことが大切です。

ALANを減らすためにできること

ALANは、私たちの生活にとって必要不可欠なものではありません。私たちは、ALANを減らすためにできることがたくさんあります。

  • 夜に必要ない照明は消すようにしましょう。寝る前には、テレビやパソコン、スマホなどの画面から目を離して、暗い部屋でリラックスしましょう。
  • 屋外の照明は、必要な場所や時間にだけ使うようにしましょう。例えば、センサー付きの照明やタイマー付きの照明を使うと、無駄な光を減らすことができます。
  • 照明の色や強さにも注意しましょう。青い光は睡眠を妨げるので、夜には暖色系の光を使うと良いです。また、照明の角度や高さを調整して、光が他の場所に漏れないようにしましょう。
  • 夜空を見る機会を増やしましょう。星や月の光は、私たちの心と体に良い影響を与えます。夜空を見ることで、自然のリズムに合わせることができます。また、夜空の美しさに感動することで、光害を減らすことの意義を感じることができます。

特に、以下のような点が大切だと思います。

  • 夜に必要ない照明は消すようにしましょう。

テレビやパソコン、スマホなどの画面から出る光は、青い光が多く、睡眠を妨げる原因になります。暗い部屋でリラックスすることで、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌が促され、睡眠の質を向上させることができます。

  • 屋外の照明は、必要な場所や時間にだけ使うようにしましょう。

例えば、センサー付きの照明やタイマー付きの照明を使うと、自動で照明が消えるため、手間がかかりません。

また、照明の色や強さにも注意しましょう。青い光は睡眠を妨げるので、夜には暖色系の光を使うと良いです。また、照明の角度や高さを調整して、光が他の場所に漏れないようにしましょう。

  • 夜空を見る機会を増やしましょう。

夜空を見ることは、光害対策の第一歩と言えるかもしれません。星や月の光に包まれた夜空を見ると、自然の美しさを再認識し、光害を減らすことの意義を実感できるはずです。

私は、光害対策は、私たち一人ひとりが意識的に行動することで、必ず実現できる課題だと考えています。この文章を参考に、一人ひとりができることから始め、光害のない美しい夜空を取り戻していきたいと考えています。

以下に、光害対策に取り組む具体的なアイデアをいくつか挙げます。

  • 自宅や職場では、照明のスイッチを消す習慣を身につけましょう。
  • 夜間外出するときは、ヘッドライトや懐中電灯など、必要な明かりだけを持ち歩きましょう。
  • 屋外照明の明るさや向きを調整し、無駄な光を減らすようにしましょう。
  • 光害に関する啓発活動に参加しましょう。

私たち一人ひとりが、小さなことからでも行動を起こすことで、光害のない美しい夜空を取り戻すことができると信じています。

まとめ

ALANは、私たちの生活にとって便利なものですが、その一方で、自然界の動物たちや私たち自身の健康に悪影響を及ぼしています。

私たちは、ALANを減らすためにできることがたくさんあります。夜の光を適切に管理することで、私たちは自然と共生することができます。夜の光は生き物にとってどんな影響があるのか、ぜひ考えてみてください。