Hikari Wooder
毎年、数えきれないほどの渡り鳥が、光害によって命を落としています。
特に、米国中西部の都市部では、その影響が深刻です。
この記事では、Kansas Public Radioが配信した記事を参考に、光害が渡り鳥に与える影響、具体的な対策、そして私たち一人ひとりができる貢献について解説します。
渡り鳥たちの未来を守るために、ぜひ最後までお読みください。
光害とは何か？渡り鳥を惑わす光の脅威
光害（ひかりがい）とは、過剰な人工照明が自然環境や人々の生活に悪影響を及ぼす現象です。
Kansas Public Radioが配信した記事では、夜間に活動する渡り鳥にとって、光害は深刻な脅威になると指摘されています。
本来、星や月の光を頼りにナビゲーションしている鳥たちは、都市の明るい光に引き寄せられ、進むべき方向を見失ってしまうのです。
その結果、建物に衝突したり、エネルギーを浪費して衰弱したりする個体が増加します。
記事によると、米国だけで年間10億羽もの鳥が建物の衝突によって命を落としていると推定されています。
これは、30秒に1羽の鳥が犠牲になっている計算です。
特に、春と秋の渡り時期には、光害の影響が顕著に現れます。
中西部が危ない？渡り鳥が集中するルートの危険
米国中西部には、渡り鳥が集中する重要な migration corridor（回廊）が存在します。
メキシコ湾からの追い風とロッキー山脈によって生じるジェット気流が、鳥たちの移動を助けるためです。
この記事によれば、この地域には、サンアントニオ、ヒューストン、ダラス、セントルイス、カンザスシティ、シカゴ、ミネアポリスといった、渡り鳥にとって危険な都市が集中しています。
これらの都市では、高層ビルや商業施設からの光が、鳥たちのナビゲーションを妨げ、衝突事故を多発させています。
記事では、シカゴのマコーミックプレイス（McCormick Place）※1での長年の調査結果が紹介されており、光の量が鳥の死亡率に大きく影響することが明らかになっています。
※1 マコーミックプレイス（McCormick Place）とは、シカゴの湖畔にある大規模なコンベンションセンターです。
科学的な解決策 – フィルムの導入と照明の削減
鳥の衝突を防ぐための科学的な解決策として、窓ガラスにフィルムを貼ることが挙げられます。
記事でも紹介されているように、このフィルムは、鳥にガラスの存在を認識させ、衝突を回避させる効果があります。
マコーミックプレイス（McCormick Place）では、フィルムの導入によって鳥の衝突事故が95％減少しました。
また、建物の照明を削減することも重要です。
記事によれば、窓の照明を半分にするだけで、鳥の死亡率を大幅に減らすことができます。
Lights Out（ライツアウト）運動 ※2のように、夜間の不要な照明を消す取り組みは、渡り鳥の保護に大きく貢献します。
※2 Lights Out（ライツアウト）運動とは、渡り鳥の保護のため、夜間（通常は午後11時から午前6時）に不要な照明を消灯する取り組みです。
私たちにできること – 窓の対策と意識の向上
私たち一人ひとりができる対策もたくさんあります。
例えば、自宅の窓にブラインドやカーテンを取り付けたり、夜間は室内灯を消したりすることで、光害の影響を軽減できます。
また、窓ガラスに鳥が認識しやすいステッカーや テープを貼るのも効果的です。
さらに、鳥類保護団体や環境保護団体を支援したり、SNSを通じて情報を発信したりすることも、光害問題の意識を高める上で重要です。
この記事でも、アメリカ鳥類保護協会のウェブサイトが紹介されています。
McCormick Placeの成功事例と今後の展望
この記事では、シカゴのマコーミックプレイスにおけるフィルム導入の成功事例が詳しく紹介されています。
2つのフットボール場ほどの窓にフィルムを貼った結果、昨年の秋の渡りシーズンには、衝突事故が95％減少したとのことです。
今後は、同様の対策を他の建物にも広げるとともに、政府や企業、地域社会が連携し、光害問題に取り組むことが重要です。
一部の科学者や鳥類擁護家は、 環境配慮型建築の認証制度であるLEED（リード）に、鳥の安全対策を組み込むよう働きかけています。
まとめ
光害は、渡り鳥にとって深刻な脅威であり、私たち人間にとっても無視できない問題です。
この記事で紹介されている科学的な解決策と私たち一人ひとりの行動によって、その影響を軽減することができます。
窓ガラスの対策、照明の削減、情報の発信など、できることから始めてみましょう。
渡り鳥たちが安全に旅を続けられるよう、私たち一人ひとりが意識を高め、行動することが重要です。
