
今回は、2024年4月14日付の The San Diego Union-Tribuneに掲載された「オーシャンサイドで単独住宅にも光害条例が適用に」という記事を紹介します。
Light pollution ordinance expanded to include single-family homes in Oceanside https://t.co/mT9tICmgUl
— The San Diego Union-Tribune (@sdut) April 14, 2024
この記事では、カリフォルニア州オーシャンサイド市が、光害対策の一環として単独住宅や小規模アパートにも条例の適用範囲を広げる取り組みについて報じています。
オーシャンサイドの光害対策
オーシャンサイド市の条例改正によって、これまで商業施設や大規模な集合住宅が対象だった光害防止の規制が、単独住宅や3戸以下のマンションにも適用されることになりました。具体的には、「すべての屋外照明器具は、照明範囲が設置物件を超えないよう遮光もしくは地平線以下に向けて設置しなければならない」と定められています。
光害問題の深刻さ
このオーシャンサイド市の取り組みは注目に値するものです。なぜなら、人工照明の増加により、夜空の明るさが年間約10%ずつ増加しているという最新の研究結果が示すように、光害は深刻な問題となっているからです。
この数値は、光害の深刻さを如実に物語っています。年々加速度的に進む夜空の明るさ増加は、私たちの生活環境に大きな影響を及ぼしつつあるのです。
そういった背景から、オーシャンサイド市の取り組みは、光害対策の先駆的な試みとして高く評価できます。
条例適用の課題
しかし、小さなアパートや単独住宅への条例適用には様々な課題が伴います。
まず、強制力の問題があります。条例によって、住宅の所有者の自由度が制限されることになるため、条例違反への罰則適用など、強制力の確保が課題となります。
また、遮光器具の設置や照明の変更には費用がかかるため、経済的に余裕のない低所得者層への配慮も必要不可欠です。
さらに、個人の住宅に立ち入っての指導や、既存の照明設備の詳細把握など、条例の実施面でも困難が予想されます。
最大の課題は、光害への住民理解の醸成でしょう。自身の敷地内の照明に制限がかかることに、抵抗感を感じる住民もいるでしょう。そのため、光害の弊害を丁寧に説明し、条例遵守のメリットを十分に示す必要があります。
光害への取り組みには多くのメリットがあります。問題に手を付けないよりも解決する費用の方が安くすむのです。簡単な遮光装置の設置や照明の向きを変えるだけで済むことが多いでしょう」と国際ダークスカイ協会サンディエゴ支部の会長であるキャシー・ハンズキー氏は、述べています。
条例成功への課題克服
この課題に対処するため、オーシャンサイド市は経済的支援策の検討や、きめ細かな住民への働きかけも検討していると考えられます。
例えば、設置費用の一部助成制度の導入などにより、低所得者層の負担を軽減することが考えられます。また、良質な睡眠の確保や、天体観測への貢献など、地域全体にもたらされるプラスの効果を強調することで、住民理解を深めていくことも重要でしょう。

オーシャンサイドの先駆性
このようにオーシャンサイド市の光害条例には課題が山積していますが、それだけに成功させるための工夫も必要不可欠といえます。
光害問題がこれまで見過ごされてきた課題であることを考えれば、オーシャンサイドの取り組みは先駆的な意義を持っています。夜空の明るさ増加に歯止めをかけ、環境と共生する社会の実現に向けて、光害対策の先陣を切るモデルケースとなることが期待されます。
おわりに
一人ひとりができることから始めていく。それが光害解決への第一歩です。オーシャンサイドの事例に学び、各地域で光害問題への理解を深め、自身にできる対策から実践していくことが重要でしょう。
夜空の星々を輝かせ続けるために、私たちにできることを考え、行動していきましょう。