ユーラシア・レビューの記事によると、科学者、政策立案者、海洋・環境の専門家が、光害が海洋に及ぼす脅威について知る機会が増えつつあります。新しく立ち上げられたGOALANN(Global Ocean Artificial Light at Night Network・グローバル海洋人工夜間照明ネットワーク)は、これらの問題に取り組むことを目的としています。

光害が海洋に及ぼす影響

記事によると、沿岸部の都市では海底の75%が有害な光害にさらされており、世界の沿岸域の190万平方キロメートル以上が人工光による生物学的に重要な照度にさらされていることが分かっています。また、月明かりや星明かりに頼って餌を探す甲殻類や、誤って早期に産卵を始めさせられるサンゴ礁など、様々な海洋生物に悪影響を及ぼしていることが示されています。

GOALANNネットワークの目的

このようなデータを背景に、ネットワークの共同リーダーの1人であるトーマス・デイビス氏は「10年前は海洋の光害の程度や生態系への影響についてほとんど分かっていませんでしたが、これらの問題を解明してきました。しかし、気候変動、海洋酸性化、海洋プラスチック、騒音公害ほど注目されていません。沿岸開発の増加や世界人口の増加を考えると、この問題に早急に取り組む必要があります」と述べています。

GOALANNネットワークの活動

このような背景から、GOALANNネットワークは、海洋の光害に関する専門知識、プロジェクト、ツールを一元的に提供し、政策立案者、環境管理者、海事産業、一般市民らに情報を提供することを目指しています。

共同リーダーのティム・スマイス教授は「海洋の生態学的指標を見れば見るほど、人工光がもたらす影響の深刻さが分かってきました。この問題を環境アジェンダの上位に押し上げることが重要です」と話しています。

デイビス氏とスマイス教授らは、これまでにも沿岸部の光害の実態や、それが海洋生物に及ぼす影響について、多くの研究成果を上げてきました。今回のGOALANNネットワークの設立は、これらの知見を広く共有し、政策立案や対策につなげていくことを目的としています。

まとめ

人間活動による光害が海洋生態系に深刻な影響を及ぼしていることが明らかになってきました。

今回設立されたGOALANNネットワークは、これまでの研究成果を集約し、海洋の光公害問題に対する関心を喚起し、適切な対策につなげていくことが期待されています。