IUCN(国際自然保護連合)が発表した「光公害に関する報告書」の内容をご紹介します。

問題概要 光害 – ISSUES BRIEF LIght pllution|IUCN

夜空の輝きが失われつつある

近年、人工照明の普及により夜空の輝きが失われつつあります。

2023年の研究によると、2011年から2022年にかけて、1年あたり7-10%もの星が見えなくなっているそうです。これは、光害の深刻化を示す数字と言えるでしょう。

光害が引き起こす恐ろしい影響

光公害には様々な問題があります。

生態系への影響は深刻で、動物の行動パターンが乱れ、捕食者と被食者の関係が崩れてしまいます。渡り鳥の迷子になったり、海亀の孵化に支障をきたしたりと、取り返しのつかない事態にもなりかねません。また、天文観測にも支障をきたし、研究活動にも支障をきたします。

さらに、人間の健康にも悪影響を及ぼすことが指摘されています。そして何より、美しい夜空を楽しむ機会が失われつつあるのは、大変残念なことです。

星空を見上げる体験は、私たちに宇宙の広大さを感じさせてくれます。伝統的な文化の中にも、星空に関する知識が深く根付いているものがあります。

光害撲滅への道のり

このような問題に対して、個人や自治体、政府レベルでさまざまな取り組みが行われています。

まず大切なのは、必要最小限の照明を使うことです。照明の色温度を低く抑え、上方への光を抑えることも重要です。さらに、照明の点灯時間を必要最小限に抑えることで、エネルギー消費の削減にもつながります。

また、地域全体で光公害対策に取り組むことも重要です。「ダークスカイ地域」の認定制度を活用し、自然な夜空を保護する取り組みも広がっています。個人、地域、国レベルで総合的に対策を講じることで、美しい夜空を取り戻し、生態系や人々の生活を守ることができます。

色温度

「色温度」とは、光の色を数値で表したものです。単位はケルビン(K)で表されます。色温度が低いほど暖色系(赤っぽい)、高いほど寒色系(青っぽい)の光に見えます。具体的な色温度の例は以下の通りです:

  • 約2000K: ろうそくの炎のような暖色系
  • 約3000K: 白熱電球の暖色系
  • 約4200K: 昼白色の白系
  • 約5000K: 晴れた日の太陽光の昼光色
  • 約6500K: 曇りの日の寒色系

一般的に、5000Kが標準的な色温度とされています。

夜空の輝きを取り戻すために

私たち一人ひとりができることから始めましょう。必要最小限の照明を使い、上方への光を抑えるなど、自分の生活から見直していくことが大切です。そして、地域全体で光公害対策に取り組むことも重要です。ダークスカイ地域の認定を目指したり、近隣の人々に呼びかけたりするのも良いでしょう。さらに、政府にも積極的な対策を求めていくことが必要です。法整備や、インフラ整備など、大規模な取り組みが求められています。

美しい夜空を取り戻すためには、私たち一人ひとりができることから始めていく必要があります。そして、地域や国レベルでの取り組みと連携しながら、光公害への対策を進めていくことが重要です。