
光害が世界の主要天文台に及ぼす影響世界中の主要な天文台が直面している深刻な問題があります。
それは、人工的な光による夜空の明るさの増加、いわゆる「光害」です。
2023年に発表されたFalchiらの研究によると、この問題は予想以上に深刻化しています。
Light pollution spoils views of space for most major observatories, study finds
— Smartest Tech (@smartesttechs) December 28, 2022
Artificial light pollution from Earth is polluting the skies above most major astronomical observatories, requiring immediate remedial action, a team of internationalhttps://t.co/E2ExYrRorb pic.twitter.com/R5RHXYOaAf
研究の概要
Falchiらの研究チームは、口径3メートル以上の望遠鏡を持つ28の主要天文台を含む、世界中の約50の天文台における光害レベルを調査しました。
彼らは、人工光が夜空の明るさにどの程度影響を与えているかを測定するために、複数の指標を用いました。
衝撃的な調査結果
- 28の主要天文台のうち、天頂の人工光の明るさが自然の空の明るさの1%未満であるのはわずか7箇所(25%)でした。
- さらに深刻なのは、地平線から30度上の空を見た場合、1%の閾値を下回る天文台はたった1箇所しかありませんでした。
- 国際天文学連合が1970年代に設定した、より緩い10%の閾値でさえ、主要天文台の3分の2が超えています。
https://www.space.com/major-observatories-suffering-light-pollution
https://www.eso.org/public/images/eso2501b
光害の増加速度
Kybaらの別の研究によると、2011年から2022年の間に、世界の夜空の光害は年平均9.6%(北米では10.4%)増加しています。
これは、従来の衛星観測による推定値(年約2%増)をはるかに上回る数字です。
最も暗い観測地点
ESO(欧州南天天文台)のパラナル天文台が、調査対象の中で最も光害の影響が少ない場所として挙げられています。
しかし、他の多くの天文台では状況は厳しくなっています。
光害対策の必要性
研究者たちは、現在の照明政策では夜空を保護するには不十分だと指摘しています。
光害を減らすための戦略として、以下が挙げられています:
- 必要な時、場所、明るさでのみ屋外照明を使用する
- 青色光の含有量を最小限に抑える
- 完全遮光型の照明器具を使用する
結論
この研究結果は、天文学者にとって深刻な警告となっています。
既存の天文台の空が急速に悪化しており、新しい天文台を建設するのに十分な暗さの場所が急速に減少しているのです。
光害対策は単純ですが、その実施には社会全体の取り組みが必要です。
夜空の美しさと科学的価値を守るために、私たち一人一人が照明の使い方を見直す必要があるでしょう。