2023年1月に発見された彗星ツチンシャン-ATLASが、太陽に接近しても生き残り、今秋には肉眼で見えるかもしれないと話題になっています。

この彗星は当初、破壊されるのではないかと懸念されていましたが、その後の観測結果から、意外にも健在な様子が確認されています。

今回は、この彗星の最新情報と、今後の動向について詳しく見ていきたいと思います。

C/2023 A3 (ツチンシャン・アトラス) 彗星のデータは、北半球では太陽の裏側に沈んでおり、南半球では日没後 30 分間しか現れないため、ほとんど観測できないため、現在入手が困難です。しかし、最新の測定では、10 月に太陽の反対側から再び現れるときには、予測された軌道をしっかりとたどっており、素晴らしい姿を見せてくれることが示されていました。チャートは、ギデオン・ファン・ブイテネンによるものです。

ツチンシャン-ATLASは、2023年1月9日に中国の紫金山天文台で最初に発見され、2月22日にはATLAS(Asteroid Terrestrial-Impact Last Alert System)でも独立して発見されました。

この彗星は、今秋に肉眼で見える可能性があると注目されていましたが、7月初旬には「破壊されるだろう」との報道もありました。

彗星の現在の状況

しかし、その2か月後の8月12日の観測では、彗星の明るさは+8.2等級と報告されており、まだ健在な様子が確認されています。

ただし、彗星の明るさを正確に測定するのは難しく、観測者によって差があるのが現状です。

宇宙船STEREOによる観測

そこで注目されているのが、宇宙船STEREOによる観測結果です。

この宇宙船のデータから、8月17日の観測では、彗星の明るさが+7.2等級と推定されており、地上観測よりも1等級も明るいことが分かりました。

STEREOとは?

STEREO(Solar TErrestrial RElations Observatory)は、2006年10月に打ち上げられた2機の宇宙船からなる観測ミッションです。

STEREOの特徴は以下の通りです:

  • 2機の宇宙船(STEREO-A、STEREO-B)が地球の軌道を前後に進んでいく
  • これにより、太陽と太陽活動を立体的に観測することができる
  • 太陽フレアや太陽嵐などの太陽活動を、立体的な視点から捉えることが可能
  • 太陽と地球の関係性をより詳細に理解することを目的としている

つまり、STEREO計画は、太陽と地球の関係性を3次元的に解明することを目的とした観測ミッションなのです。

ツチンシャン-ATLASの明るさを推定する上で、STEREO観測データが重要な役割を果たしています。

地上からの観測だけでは正確な明るさを捉えるのが難しい彗星の状況を、STEREO観測が補完しているのです。

専門家の見解

彗星の専門家であるチェコ・アメリカ人の天文学者、ズデネック・セカニナ博士は、7月に「彗星は破壊の最終段階にある」と指摘していました。

しかし、その後の観測結果を見ると、彗星はまだ健在であり、セカニナ博士の予想は外れた形となっています。

今後の動向

このように、ツチンシャン-ATLASは予想に反して生き残っており、今秋に肉眼で見える可能性が高まってきました。

ただし、彗星の明るさは観測者によって差があるため、正確な予想は難しい状況です。今後の観測結果に注目が集まっています。

まとめ

2023年に発見されたツチンシャン-ATLASは、当初は破壊されるのではないかと懸念されていましたが、意外にも生き残っており、今秋に肉眼で見える可能性が高まってきました。

宇宙船STEREOによる観測結果から、彗星の明るさは地上観測よりも1等級も明るいことが分かっており、今後の動向に注目が集まっています。

専門家の予想が外れた形となっているこの彗星の行方に、多くの天文ファンが注目しているのは間違いありません。