
こんにちは、皆さん。今日はUCLA NEWSに掲載された興味深い記事についてお話しします。私たちの星空は、人工的な光によって失われつつありますが、この問題に対する解決策が提案されています。
How to dim the consequences of global light pollution
光害の増加とその影響
過去30年間で、光害は急速に増加し、年々約10%の割合で上昇していると言われています。この人工的な光は、人間の生物学的な時計や文化的な伝統を乱し、運転や歩行時の危険を高めるなど、人間と動物の健康や行動に様々な悪影響を及ぼします。動物にとっては生活周期やパターンに混乱をもたらすことが指摘されています。
光害の現状
私たちの祖先は天の川をはっきりと見ることができましたが、現代の光害により、その美しい光景を見ることができなくなっています。研究によれば、ヨーロッパの60%、アメリカの80%の人々が天の川を見たことがないと推定されています。
「The World at Night(夜の世界)」レポートの紹介
この問題に対処するため、「The World at Night」という160ページにわたる報告書が国際自然保護連合のDark Sky Groupによって発表されました。UCLAの生態学者であるTravis Longcore氏らによって作成されたこの報告書は、光害の害悪とそれを最小限に抑えるためのガイドラインを提供しています。
The world at night – IUCN
「The World at Night」は、自然の暗闇を保全し、夜空を鑑賞するための重要性を訴える報告書です。文化遺産の保護と星空の美しさを楽しむ権利に焦点を当て、光害が及ぼす影響とその対策方法を詳細に説明しています。人工光による生態系や人間の健康への悪影響、そして星空の観察が困難になっている現状について、科学的な研究結果を基にしたガイドラインを提供し、天然の暗さの価値を再認識させるものです。
光害の技術的背景
技術革新と都市の発展により、人工光が急激に増えています。1992年から2017年の25年間で、光害は少なくとも49%増加しました。人工光は暗く温かみのある色合いから、フルスペクトルのLEDに変わり、その負の影響を増大させています。
人間と野生生物への影響
人間の健康にとって、この人工光は深刻な影響をもたらします。生物学的な時計を乱し、睡眠や病気との戦いに不可欠なホルモンの産生に影響を与えます。また、野生生物や生態系にも混乱を招いています。
文化的重要性
文化的な観点からも、星空は重要です。物語、宗教的な伝統、暦は歴史を通じて星空に依存してきました。ニュージーランドのマオリ族や、ジャワ島北部、南アフリカのバソト族など、多くの文化が星々を大切にしてきたのです。
光害への対策
星空を保護するためには、人工的な光の使用を最小限に抑える必要があります。この報告書では、天然の暗さを保つための具体的な対策が提案されています。
天然の暗さを保つために以下のような具体的な対策
- 照明の方向性の調整: 人工光が空に向かって放射されるのを防ぎ、地面に向けることで、天の川などの天体が見やすくなります。
- 光の量の制限: 必要以上の明るさを避け、必要最小限の照明にとどめることが推奨されています。
- 光の色温度の選択: 青色光を多く含むLED照明ではなく、暖色系の低色温度の光源を使用することで、生態系への影響を減らします。
- 照明の使用時間の管理: 不要な時間帯には照明を消し、特に深夜の照明を控えることが求められています。
- ダークスカイリザーブの創設: 星空観察に適した環境を確保するために、光害から保護された地域を設けることが効果的です。
- 教育と啓発活動: 一般市民や政策決定者に対する光害の影響についての教育を行い、意識向上を図ります。
まとめ
光害は私たちの生活に深く根ざした問題ですが、意識を変え、適切な対策を講じることで、美しい星空を取り戻すことができるでしょう。この記事をきっかけに、一人ひとりが光害について考え、行動を起こすことが重要です。
以上で、光害とその対策についてのブログを締めくくります。星空を守るために、私たちにできることを一緒に考えていきましょう。