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アイダホ州サンバレーが達成、宿泊業界初の快挙
以前の記事では、光害対策が国立公園の観光価値を守る取り組みとして注目されている実態をご紹介しました。今回は、その流れが宿泊業界にも広がった好例です。米アイダホ州のサンバレー・リゾートが、全米で初めて「DarkSkyロッジング&リゾート認証」を取得しました。
本記事は、地元メディアktvbなどの報道をもとにご紹介します。
宿泊業界初、DarkSky認証の中身
サンバレー・リゾートが取得したのは、国際的な光害対策団体ダークスカイ・インターナショナルが定める「DarkSkyロッジング&リゾート認証」です。ホテルやリゾート施設を対象としたこの認証制度で、米国内のリゾートが認証を取得したのは今回が初めてとなります。
認証を得るためには、野生生物の生息環境の保護、光害に関する一般向けの啓発活動、そしてゲレンデ周辺での人工照明の使用を抑える取り組みなど、複数の基準を満たす必要があったといいます。
セントラル・アイダホ・ダークスカイ・リザーブとの深い関係
サンバレーが立地するのは、セントラル・アイダホ・ダークスカイ・リザーブのすぐ近くです。このリザーブは2017年12月に認定された、90万6,000エーカー(約3,670平方キロメートル)におよぶ広大な保護区で、その大部分はソートゥース国有林の中に位置しています。
さらに、リザーブ内にある街ケッチャムは、1999年に制定された屋外照明条例を皮切りに光害対策を進め、「国際ダークスカイ・コミュニティ」の認定も受けています。今回のサンバレーの認証は、こうした地域全体の長年の取り組みの延長線上にある成果だと言えるでしょう。
ペルセウス座流星群に合わせた記念イベント
サンバレーの標高の高い山岳地形と、視界を遮る建造物の少なさ、そして周辺地域の光害対策の蓄積が組み合わさることで、来訪者は満天の星空の下でのスターゲイジングや、夜のアウトドア体験を存分に楽しめる環境が整っています。
認証取得後、最初の記念イベントとして「スターズ・オーバー・サンバレー」が、ペルセウス座流星群の極大期にあたる8月12日に開催される予定です。リゾート側が光害対策を単なる規制対応ではなく、観光の目玉として積極的に打ち出している点が印象的です。
「守るべきコスト」から「観光資源」へ
以前の記事でご紹介した、光害が米国内のダークスカイ観光地の経済価値を数十億円規模で損なっているという研究を思い出すと、今回のサンバレーの取り組みは、その裏返しの好例と言えます。暗い夜空を「守るべきコスト」としてではなく、「他にはない価値を持つ観光資源」として前面に押し出すことで、リゾート全体のブランド力向上につなげようという狙いがうかがえます。
星空観光(アストロツーリズム)の需要が世界的に高まる中、宿泊業界にとって光害対策は、今後ますます競争力の源泉になっていくのかもしれません。
宿泊業界に広がるか、光害対策の輪
今回の認証取得は、あくまで宿泊業界における「第一号」という位置づけです。今後、他のスキーリゾートや山岳リゾートが追随する動きが出てくるかどうかは、業界全体の関心を集めるところでしょう。
ダークスカイ・インターナショナルにとっても、国立公園や自治体だけでなく、観光・宿泊業界という新たなプレイヤーを巻き込むことは、光害対策の裾野を広げるうえで重要な一歩になりそうです。
写真愛好家にも人気のスタンレー湖
セントラル・アイダホ・ダークスカイ・リザーブは、米国内で最初に認定されたダークスカイ・リザーブとしても知られています。スタンレー湖では、水面に映り込む天の川を撮影できるスポットとして写真愛好家の間でも人気が高く、周辺のポンデローサ・パイン・シーニック・バイウェイ沿いにも、星空観賞に適した展望スポットが点在しています。
まとめ
アイダホ州サンバレーの事例は、光害対策が国立公園や自治体だけの取り組みではなく、宿泊業界にとっても価値創出の手段になり得ることを示しています。以前の記事で紹介した経済価値研究と合わせて考えると、暗い夜空を守ることは、地域の魅力そのものを守り、育てることに直結していると言えそうです。
次の旅行先を選ぶ際、星空の美しさも一つの基準に加えてみるのはいかがでしょうか。
出典: ktvb「Sun Valley makes history as first certified ‘DarkSky’ resort in the US」をもとに作成。