今回は、イギリス・カンブリア州の光害削減に向けた取り組みについてご紹介したいと思います。

https://www.newsandstar.co.uk/news/24345785.award-nomination-guide-help-reduce-light-pollution-cumbria

カンブリア州では、2023年末までに、州内の主要自治体と国立公園局が、優れた照明ガイダンスを採用しました。

このガイドは、「Good Lighting Technical Advice Note」と呼ばれ、プランナーや計画申請者向けの包括的な照明ガイダンスを提供しています。さらに、個人、組織、コミュニティが良質な照明を選択するのにも役立つ内容となっています。

光害削減への取り組み

このガイドは、ライティングに関するコンサルタント企業のDark Source、ランドスケープ慈善団体のFriends of the Lake District、および計画当局が共同で作成したものです。

既にイギリス国内で2つの賞を受賞しており、今回はさらに、ロイヤル・タウン・プランニング・インスティチュート(RTPI)の北西地域賞にもノミネートされています。

ガイドの特徴としては、良質な照明実践の具体例を示しており、屋外照明を設置する人や建築家、デザイナーなどが活用できるようになっています。

照明は複雑な科学で、多くの国内基準やマニュアルがありますが、それらは計算式や専門用語が多く、忙しい計画担当者にとって理解が難しかったのが課題でした。

光害削減の効果

このガイドは、カンブリアや北イングランド全体の光害削減に役立つよう作られました。

「Good Lighting」と名付けられているのは、単に夜空の光害を防ぐだけでなく、野生生物の保護、良質な睡眠、電気代の節約、炭素フットプリントの削減、景観の静寂性の維持など、様々な利点があるためです。

例えば、2023年の星空カウントの結果によると、英国の3/4の住民が光害のために星空を十分に見られないという状況でした。

このような光害の問題に対して、カンブリアでは、良質な照明ガイダンスの導入により、大きな改善が期待されています。

専門家の協力体制

このガイドの制作は、Friends of the Lake Districtが管理しました。彼らのDark Skies Cumbria Projectの専門知識と、世界中、ヨーロッパ、英国の照明研究を活用しています。

初期草案に対して200件以上のフィードバックがあり、カンブリアの建築家、地方自治体、天文学者、保護団体、照明技術者、メーカーなど、多様な関係者が関与しました。

このように、幅広い専門家の協力のもと、実践的で使いやすいガイダンスが作られたのが特徴です。

3つのバージョンで提供

このガイドには3つのバージョンがあり、1ページの基本原則、20ページの小規模プロジェクト向け要約版、そして大規模提案向けの完全版の技術アドバイスノートです。

すべての屋外照明がプランニングや建築規制の承認を必要とするわけではありませんが、理解と信頼が高まれば、より広範な最良実践が奨励されることでしょう。

まとめ

カンブリア州では、光害削減に向けた取り組みが大きな成果を上げつつあります。関係者の協力のもと作られた優れた照明ガイダンスが、全国的な評価を得ているのは喜ばしいことです。

今後も、良質な照明の普及を通じて、夜空の保護、野生生物の保護、省エネ、景観の保全など、様々な効果が期待されます。カンブリアの取り組みは、他の地域にとっても参考になるはずです。

光公害問題は、私たち一人ひとりにも関係する身近な課題です。この記事を通じて、皆さんにも光公害への関心が高まり、良質な照明の選択につながれば幸いです。