ニューキャッスル郡では、2024年5月に光公害対策に関する新しい条例「Ordinance(条例) 23-122」が可決されました。

https://delawarelive.com/ncco-takes-another-step-to-curb-light-pollution

この条例は、新しい商業施設の建設や大規模な改修工事に適用され、照明器具の設置方法を規制することで、不要な光の上方への漏れを防ぐことを目的としています。

光害は近年大きな問題となっており、地域の取り組みが注目されています。Delaware Liveの記事では、ニューキャッスル郡の具体的な対策内容や、その背景にある課題について詳しく報じています。

ニューキャッスル郡の光害対策

それでは、新しい条例の具体的な内容を見ていきましょう。

条例 23-122の概要

まず、すべての照明器具について、地面から90度以上の上向き光が出ないよう設計されなければなりません。この規制により、観測所での天体観測が容易になるだけでなく、近隣への光漏れも防げます。

さらに、スポットライトやフラッドライトについては、壁やり土盛り、遮光フードで光源が外から見えないよう遮蔽する必要があります。従来は植栽で遮蔽していましたが、樹木の成長に左右されるため、条例ではその対応は認められていません。

一方、歩行者の安全性については、照明量自体は従来と変わりません。事実、ニューキャッスル郡警察本部は「犯罪防止に照明が役立つかは分からない」と回答しています。むしろ、過剰な照明はATM利用者を盗難犯に見つけやすくするリスクもあるのです。

光害対策の効果と課題

ニューキャッスル郡の光害対策は、地域の景観保護や野生動物への配慮、さらには天体観測への影響軽減など、多岐にわたる効果が期待されています。

特に、野生動物への影響が大きな課題となっています。過剰な照明は、夜行性の動物の行動を乱し、生態系に深刻な影響を及ぼす可能性があります。ニューキャッスル郡では、この点に十分配慮した対策を検討しているとのことです。

一方で、照明の適切な設置や管理には、コストや技術的な課題も伴います。LED化や遮光板の設置には一定の費用がかかるほか、照明の向きや光量の調整には専門的な知識が必要となります。こうした課題に対し、ニューキャッスル郡では、地域住民や事業者への働きかけを強化するなど、総合的な取り組みを進めています。

デラウェア州のリーダーシップ

この条例により、デラウェア州はアメリカの光害対策でリーダーシップを発揮することになりました。近年、各地で星空保護区の設置が進んでいますが、デラウェア州のように都市部でも徹底した対策に乗り出した例は他にありません。

一方で、条例の影響は限定的と言えます。既存の施設は対象外であり、自治体による管理が鍵を握ります。しかし、多くの人が光害の深刻さに気づき始めた今、この条例は大きな一歩となるでしょう

光害の社会的コスト

実は、アメリカでは毎年約30億ドルもの社会的コストが発生していると推計されています。つまり、一人当たり10ドル近くの無駄な支出となっているのです。

30億ドル=約34500億円(1ドル150円で計算)

まとめ

デラウェア州のメディアサイト「Delaware Live」が報じたニューキャッスル郡の光害対策は、地域の景観保護や野生動物への配慮、さらには天体観測への影響軽減など、多岐にわたる効果が期待されています。具体的な取り組みとしては、新設照明の規制、既存照明のLED化、遮光板の設置など、総合的な対策が進められています。

この記事では、光害の定義や、配光、色温度、LED化といった専門用語についても解説しました。地域の光害対策は、単なる照明の改善にとどまらず、地域の環境保護や住民の生活の質の向上にもつながる重要な取り組みだと言えるでしょう。Delaware Liveの記事は、この問題への理解を深める良い機会となっています。